1.経歴
- 昭和19年1月,千葉県出身,
- 昭和33年,中学2年のときに,植芝盛平先生の演武を見た兄から合氣道に行くよう勧められ,産経道場に通う.
- 昭和43年頃から江戸川区合気道連盟にて故・石井輝師範と共に指導にあたる.
- 平成20年に青木哲郎師範と共に東京都墨田区に錦糸町合気道倶楽部を設立する.
- 平成24年1月に合氣道八段位に列せられる.
- 平成28年に墨田区体育協会から墨田区合氣道連盟として承認を受ける.
- 令和5年 逝去
2.稽古内容
稽古は一教から四教の抑え技,四方投げ,小手返し,回転投げ,入身投げ,隅落とし,腰投げといった基本技に重点を置きます.対武器技として太刀取りや短刀取りも稽古します.ここまでは一般的な道場と指導方法は変わりませんが,当道場の特色は以下のとおりです.
特色その1.合氣道は剣の動き
小出師範は,「合氣道は剣の動きである」と説明されます.それは剣の形を覚える必要はないものの,素振りをすることで相手を想定した間合いの感覚を掴むことが大事であるとのことです.多様な技を稽古するよりも,基本の五級の技を徹底的に稽古すれば,あとの技を自然とできるようになる,とのことです(合氣道探求第42号より一部抜粋).
特色その2.捌きと当て身が大事
また,合氣道は捌きと当て身が大事であると説明されます.捌きは相手の攻撃が何であろうと,とにかくその場に留まっていてはいけない.「顔面を殴ってくるかもしれない」「回し蹴りをしてくるかもしれない」といったことも実際には十分に想定されるからです.
当て身については,「当て身が7割(ときどき8割と言っています)」と説明されます.稽古で実際に当て身を入れてはいけないが,いつでも当て身が入る位置に「捌く」ことが大事とのことです.
3.語録
小出語録,と言っていいのか判断に迷いますが,以下のようなことを常々おっしゃっています.
その1.守・破・離
「合氣道でも稽古事は何でもそうであるが,まずは先生のやることを正確に真似る(=守),その次にその先生をやっつけなくてはならない(=破),最後は自分のやり方をみつけて離れていくんだ(=離)」
その2.菩薩道
「仏様には大まかに如来,菩薩,明王,天がいる.そのうち如来と菩薩の違いがわかりますか?如来とは悟りを開いた仏,菩薩とは悟りを開くための修行をしている仏である.植芝盛平先生は常々『合氣道は菩薩道である』と言われた.つまり永遠に合氣道の修行は終わらない.常に変化していくものなんだよ.変化して当たり前.」
その3.○△□
「よく武道では,○△□という.○は何かというと,丸く捌くこと,△は構えのこと.△を決して崩してはいけない.□は諸説あるが,自分の考えでは安定(※)であると考える.」
(※以前は,腰投げに入るため相手と向かい合ったとき,上から見ると□だと説明していた)
その4.入身10年,一教一生
「技なんてうまくいくわけないんだよ,入身は10年やってどうにか出来るが,一教は一生かかる.
その5.私の言うことは半分,嘘
「いつまでも私の真似をしていては駄目.私の言うことは,半分は嘘と思ってくれても構わない.私にとって一番いい技をあなた達に教えているが,皆さんは年齢も体力も力も違うのだから,私が教えた技を土台にして,自分の技を作っていってください(合氣道探求第42号より一部抜粋).」